小河内ドンドン

 昔々のことじゃがの、小河内には太鼓の名人、久地の高山には笛の名人、矢口には舞の名人がおったんじゃそうな。
 ピーヒャラドンドン・・・ピーヒャラドンドン・・・囃しながら、3人が揃って祭りをすりゃあ、とても楽しくなって、じっとしておられんようになって、あっちからもこっちからもたくさんの人が見に来たんじゃげなで。
 とりわけ小河内の太夫さんと矢口の太夫さんはよう気がおうて、矢口で祭りがありゃあ小河内の太夫さんがすっ飛んでいって、太鼓を叩いたんじゃげなで。またのう、小河内で祭りがありゃあ矢口の太夫さんがすっ飛んできて、舞をもうたんじゃと。
 この話は遠くの方まで広がって、あっちからもこっちからも、
「来てくれんさい。来てくれんさい。」
と言われて、八方に行って太鼓を叩いたもんじゃけえ、いつの間にやら“小河内ドンドン”と言うようになったんじゃげな。
 また、もう一つはの、小浜のマキハラと小峠の寄り石の下の古い道を歩記きやあ、ドンドンと響いて、音がしたんじゃげな。それんで、小河内のことを“小河内ドンドン”と言うようになったんじゃげな。
 「小河内ドンドン茶が煮える。豆腐の煮えたをまだ知らん。」という囃し言葉は、茶目っ気の人が言い出したんだと。
 おもしろいことよの。けっちりこ。


寄り石辺り